GoodNotesが続かないのは普通。設定沼と白紙の罪悪感を終わらせる環境再設計5ステップ

GoodNotesが続かず白紙のページを前に悩む人のイメージ

iPadとApple Pencilを手に入れ、数千円の有料テンプレートを買い込み、理想のペン設定をミリ単位で調整する。最初は、自分の人生が魔法のように整っていく予感に胸を躍らせていたはずです。

しかし、数週間後。あなたのGoodNotesは、いつの間にか「開かれないアプリ」のアイコンへと変わり、白紙のページが虚しく並んでいないでしょうか。

たぶん、数日空いた瞬間に「あぁ、やっぱりダメだ」と思ったはずです。でも、安心してください。あなたがGoodNotesを継続できないのは、意志が弱いからでも、能力不足だからでもありません。

原因は、脳の仕組みと、デジタルという「不親切な環境」の間に起きた、単なるセッティングの不一致です。この記事を読み終わる頃には、自分を責めるのをやめて、明日から「あ、これなら書ける」と自然に手が動くようになります。


目次

なぜ続かないのか?脳を疲弊させるデジタルの構造的な落とし穴

GoodNotesが続かない最大の理由は、あなたが思っているよりもずっと、脳にとってデジタルで書くという行為が「高コスト」だからです。3つの視点で、その正体を解き明かします。

脳の作業台を占領する認知負荷

GoodNotesで書く前に発生する認知負荷の図解

脳には「ワーキングメモリ」という、一時的な作業台のようなスペースがあります。紙とペンなら「手に取る→書く」の2ステップで済むことが、デジタルでは驚くほど多くの「決断」を脳に強いています。

  • iPadのロックを解除する
  • アプリを探してタップする
  • 目的のノートブックを特定する
  • ペンの種類、太さ、色の選択(=選ぶだけで疲れるやつ)
  • ズーム倍率を調整する

これら一つひとつが、本来「書くこと」に使うはずだった脳のエネルギーを削り取ります。書く前に、選ぶことで疲れている。これが挫折の第一歩です。

記憶の住所を失う空間認知の喪失

紙のノートとデジタルノートの違いを比較したイメージ

人間の脳は、情報を「場所」とセットで記憶する癖があります。「あのノートの中盤くらいの、左側のページの下に書いたこと」という物理的な手がかりが、記憶を呼び起こすヒントになります。しかし、デジタルでは画面をスクロールするたびに情報の位置が変わり、情報の「絶対的な住所」が消えてしまいます。この手応えのなさが、脳に「これは重要じゃない情報だ」と誤認させ、モチベーションを奪うのです。

フリクション(摩擦)の累積

行動を開始するまでの小さな手間を、行動経済学では「フリクション(摩擦)」と呼びます。

行動意欲 = 期待される報酬 - (起動フリクション + 操作コスト + 心理的障壁)

行動意欲を左右するフリクションの概念図

例えば「1行書くことで得られるスッキリ感」が小さい日に、起動の手間が3工程あると、人はだいたい負けてしまいます。iPadの起動から書き始めるまでの数秒の遅延が、脳にとっては「高い壁」として認識され、先延ばしを自動的に誘発するのです。

ここまでのまとめ
つまり、GoodNotesが続かないのは、書く前に脳が疲れ果てる構造だから。意志の力で解決しようとするのは、ガソリンが漏れている車を気合で走らせようとするようなものです。


なぜ設定沼にハマるのか?——生産性を装った回避行動

ペン設定やテンプレートに時間を使いすぎる様子のイメージ

テンプレートを探し回り、ペンの太さを0.1mm単位で調整し、完璧なフォントを収集する。これがいわゆる「設定沼」です。

これは一見「努力」に見えますが、心理学ではセルフ・ハンディキャッピングと呼ばれる回避行動です。もし本来の目的(勉強や仕事)が上手くいかなくても、「ツールの設定に時間をかけたからだ」という言い訳を、脳が無意識に用意しているのです。設定を完璧にすること自体が目的化し、肝心の中身が進まない。この本末転倒な状況が、あなたを疲弊させます。


よくある質問(FAQ)

有料テンプレートを使いこなせない。捨てたほうがいい?

はい、一旦使い慣れた「ただの白紙」に戻しましょう。高機能なテンプレートは、それだけで脳の作業台を圧迫します。まずは道具を極限まで減らすのが継続のコツです。

白紙のページ(空白の日)が怖い、罪悪感がある。

手帳を「過去の自分を採点するスコアボード」にするのをやめましょう。日付のないノートを使い、「書きたいときだけ、次のページに書く」スタイルに変えるだけで、罪悪感は消えます。

GoodNotesのノートは何冊作ればいい?増えすぎて開かなくなります。

まずは「1冊だけ」に統一しましょう。何に書くか迷うこと自体が脳のコスト(フリクション)になります。迷いの発生源を物理的に消すのが正解です。

紙の手帳に戻るのは負けですか?

むしろ「自分に合う道具を正しく選べる強さ」です。ただし、デジタルには検索性というメリットもあります。この記事の「環境再設計」を試したあとでも紙が良いなら、自信を持って戻ってください。


GoodNotesを続けるための環境再設計5ステップの図解

解決策:意志を使わない環境再設計5ステップ

頑張るのをやめて、システムとして頑張らなくても書ける環境をデザインしましょう。

Step1:1タップで特定ノートを開く

iPadのホーム画面に、特定のノートブックの最新ページを1タップで開くショートカットを配置してください。「アプリを探す」「ノートを選ぶ」という認知プロセスを物理的に消去します。

Step2:ペンと色を固定してロックする

GoodNotesのお気に入り機能を使い、ペンは1種類、色は「黒・赤・青」の3色だけに絞りましょう。書くたびに「何色にしようかな」と迷うのをやめる。選択肢を削ることが脳を守ります。

Step3:日付なしノートへの移行

「空白=失敗」という呪縛を解くために、日付のない白紙ページから始めましょう。書きたい時に書き、書かない日があっても次のページへ行くだけ。空白を気にしない環境を作ります。

Step4:ハビットスタッキング(既存習慣への相乗り)

「朝、コーヒーを一口飲んだらiPadを開くる」というように、すでに定着している習慣の直後にGoodNotesを結合させます。意志力の消費をゼロに近づけます。

Step5:2分間ルールと1行の型

目標を完璧な記録ではなく「2分間だけ開く」に設定します。そして、書く内容を迷わせないための型(テンプレート)を自分の中に持ってください。


思想の着地:管理装置から生存確認へ

そもそも、なぜ私たちはGoodNotesで挫折し、苦しむのでしょうか。それは、デジタルノートを「自分を監視し、生産性を上げるための管理装置」にしてしまったからです。

今日から視点を変えてみましょう。GoodNotesは、あなたを追い立てる道具ではありません。あなたがデジタルの荒野で迷わないよう、自分の現在地を確認するための安心のインフラ(生存確認)です。

生存確認とは、今日、何を考え、何をやったかを1行で可視化すること。

綺麗に書く必要も、毎日埋める必要もありません。それはあなたを裁くためではなく、あなたが今日を生き延びたことを祝うための記録です。効率化の刃で自分を切り刻むのは、もうやめましょう。


まとめ:今日から始める行動チェックリスト

  • [ ] 1タップで特定のノートが開くショートカットをiPadのホーム画面に置く
  • [ ] 使うペンの太さと色(3色以内)をお気に入りに固定する
  • [ ] 今から2分だけ、白紙のページに以下の例のように書く
iPadに1行だけ書かれた生存確認のメモ

生存確認の1行テンプレート(記入例)

・今の体感:6/10
・今の不安:締切が近い(1つだけ)
・やった事:資料を10分読んだ(何でもいい)

GoodNotesが続かないのは、意志が弱いからではありません。設計されていない不安が、あなたの脳にブレーキをかけさせているだけです。設計を整え、もっと雑に、もっと自分を許す形で、今日から生存確認を始めてみませんか。

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